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Ohnari Alley / 大成アレイ

 

旗竿敷地に建つ、単身者向け25㎡/戸、計8戸の重層長屋の計画。

法規上独立したアプローチの求められる長屋というビルディングタイプには、玄関扉が過密に並ぶことで周辺環境とは異なる雰囲気を持った領域を作り出してしまうという特徴がある。今回の計画のように各戸の規模が小さい場合には、その領域性はなおさら顕著になる。そのような長屋が道から奥まった旗竿敷地にできるとなれば、周囲を建物に囲まれることによるネガティブな側面(光が入らない、風が抜けない、地域住民の目が届かない等々)が加味されて、閉塞感を持った異質な領域として地域環境の中に建ち現れることになる。

一方で「旗竿敷地の長屋」という収益物件のスキームは、旗竿敷地の土地価格の相対的低さという経済的利点や、共用廊下を持つアパートのような共同住宅は建てられないが長屋ならOKという法規的条件から、不動産投資家にとってはある種王道のスキームという側面がある。結果、土地が細分化され旗竿敷地が生まれる東京近郊のような都市部で「旗竿敷地の長屋」は再生産され続ける。

このような問題意識から大成アレイでは、人や光や空気が敷地と建物を通り抜け、街の一部に住んでいると住民が感じられるような「非領域的」な長屋の在り方を探ることを考えた。その上で収益物件に求められる経済性(低コスト)・施工性(短工期)を条件とした「旗竿敷地の長屋」の新たなプロトタイプとなることを目指した。

敷地となった旗竿敷地は、旗の一辺で緑道に面していた。こうした緑道は一帯が農地だったころの用水路が暗渠化したもので、この地域にヒューマンスケールののんびりした外部空間をもたらしている。

まず旗の真ん中に建物をコンパクトに配置する。すると緑道から建物外周をぐるりと回り竿の部分を通って道路へと抜けていく、ひとつながりの路地が生まれる。路地には緑道に近い幅を持たせ、緑道と同じように片側を緑化する。そうすることで、緑道から路地に入り家に帰る・家から路地に出て道路に抜けるといった体験が、街と一続きの体験として感じられるようにする。建物外周全体がアプローチ空間となることで玄関同士の距離は離れ、それぞれの玄関先に植物を置いたり自転車を止めたりといったパーソナライゼーションが可能になる。

住戸は全てメゾネットとし、1階と2階でそれぞれ反対側の路地に面するように計画する。それぞれの路地に面してひとつずつ窓を設けることで、路地から窓を介して取り込んだ光と風が階段を斜めに伝い、反対側の窓から外へと抜けるようにする。1階に水回りなどインフラ的要素をまとめ、2階はがらんどうの居間とする。手早くご飯を食べたり作業をしたりする1階の窓辺(ハイテーブル)と、腰掛けて路地を見下ろす2階の窓辺(窓台ベンチ)という居方の異なる二つの窓辺空間を作る。インフラ的1階とがらんどうの2階という構成は、路地との間に求められるプライバシーの度合いの調整や、隣接する住戸との間に起こりうる音の問題へ対応する上でも都合が良い。

 

全体は同じ形式の住戸が反転して噛み合わさったものが4セット並ぶことで出来ている。経済性や施工性を考慮してのことだが、結果として玄関や設備スペースのニッチが市松状に現れる外観が生まれた。

LOCATION

CLIENT

YEAR

STATUS

PROGRAM

CONTRACTOR

PHOTOGRAPHY

Saitama, Japan

Real Estate Company

2020

Built

Row House

Makiya Corporation

Masao Nishikawa

計画地

クライアント

計画時期

ステータス

プログラム

​施工

​写真​

埼玉 / 日本

​不動産会社

2020

竣工

​長屋

真規家工務店

​西川公朗

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